Adaptive control & Monitoring Solution
高負荷時は、送り速度を下げ低負荷時は、送り速度を上げる事で、15%から20%のサイクルタイムの短縮を実現します。また、工具のへの負荷も軽減することで、工具寿命向上にもつながります。
工具が異常な負荷状態にあると判断すると、自動的に機械を停止させます。この自動停止機能により、工具や機械の損傷を防止し、作業環境の安全性を確保します。
SIEMENSのみならず、日本国内で多く使用されているFANUCやMITSUBISHI製にも後付け可能です。
異なったCNC機が点在している工場でも本製品で統一可能
切削負荷のモニタリングで諦めていたロスを削減
切削加工に時間がかかるという課題を解決するための、 Siemensが提供するソフトウェア
ACMとは Adaptive Control & Monitoring を意味し、切削中のスピンドルの負荷を常時モニタリングし、 送り速度を自動調整するソリューションです。
例えば、大きな負荷がかかりやすい、刃物が材料に進入する場面においては送り速度を低下させ、比較的負荷が下がる切削中には送り速度を上げるようなコントロールを行います。
ACMでは、 主軸負荷の他にも、 切削工具のデータやワークの材料特性などの情報を取得。 それにより、 加工フェーズではなく、 各瞬間において許容される最高の送り速度での加工を可能にします。また主軸にかかる負荷の変動は仕上げ面に影響を与えますが、 ACMならば常に主軸負荷をモニタリングし、最適な送り量を算出するため、 仕上げ面の均一さにも貢献します
ACMは、航空宇宙分野や自動車産業、金型業界など様々な業界で活用されています。
例えば航空宇宙分野で使用されるランディングギアの切削加工では、切削難易度の高い部分が存在しています。このような場面において、従来はオペレーターが手動で刃物の送り量を調整していました。しかし、特に多軸加工機においては、作業員の目視では加工部位の確認がしづらく、状況が正確に把握できないため慎重にならざるを得ず、許容される最高の送り速度での加工は不可能でした。
ACMならば切削状況を常にモニタリングしているため、刃物の食いつき時だけでなく、加工中であっても、その瞬間ごとの最高の送り速度で加工ができるようになり、およそ27%の加工時間短縮につながりました。
業界別の事例では、自動車産業では約8%、発電業界では約18%、金型業界においては約21%の加工時間短縮を実現しました。
衝突検知と自動停止
ACMはスピンドル負荷をモニタリングし、工具の異常な負荷変動を検知します。工具が異常な負荷状態にあると判断すると、自動的に機械を停止させます。この自動停止機能により、工具や機械の損傷を防止し、作業環境の安全性を確保します。
短いサンプリング時間
ACMは非常に短いサンプリング時間(2ms)でスピンドル負荷を監視します。これにより、工具が異常な負荷状態に陥る前に早期に検出し、衝突の危険が高まる状況を事前に識別します。この最適化された衝突予防機能は、安全性を向上させ、生産プロセスの中断を最小限に抑えるのに役立ちます。
ACMの衝突防止機能は、工具と機械の保護を優先し、生産性を犠牲にすることなく、効果的な衝突検知および予防を実現します。これにより、切削加工プロセスの安全性と効率性が両立されます。
動作イメージ
非常に硬い材料を切削加工する際に、切削加工において、強度に耐える工具を見つけること重要といわれており、切削時の力が大きくなるので、切削の設定が合っていない場合、工具の摩耗が進んでしまい、想定より工具の寿命が短く、工具の費用が増加してしまう可能性があります。
切削工具の負荷を“コントロール”
工具寿命の可視化事例:インコネル718という、ニッケルを主体とし、炭素や鉄などを加えた合金でジェットエンジンの部品、原子力発電所の原子炉などに使われている、強度として非常に強い合金があります。工具への負荷を監視しながら、送り速度を調整することができるACMが、インコネル718切削した場合、どのような利点をもたらすかについてポーランド・ジェシュフの工科大学にて試験をしました。
事前準備
実際の試験加工を開始する前に、ACMのラーニングモードを実行しました。工具を新品の状態から始め、摩耗が進行するまで加工テストを繰り返しました。このラーニングモードにより、Load Curve(負荷曲線)が生成されました(Fig. 1の4)。このLoad Curveを基にして、下記の2つの方法を用いて工具監視をしました。
1 | Alarm Level (負荷の上限と下限 – 超えると機械を停止させる) |
2 | Warning Level |
3 | Maximum recorded load (ラーニングモードのときの最高負荷) |
4 | Load Curve(負荷曲線) |
試験結果
新しい工具と交換後、加工を開始しました。加工中において
・約10回程度【Warning Level】という上限・下限を超える警告が発生しました。
・その後2回【Alarm Level】という上限・下限を超え、ソフトウェアが機械を停止させました。
・2回目の【Alarm Level】までの加工時間は42分であることが確認されました。
実験の結果を説明すると、工具が摩耗していくと、新品の状態よりも負荷が増加する傾向があります。
ACMの負荷監視・自動調整機能により、工具メーカーの推薦タイミング通りに工具寿命を達成しました。
ACMが改善できるのは、次の3点です。
1.サイクルタイムの短縮
リアルタイムに主軸の負荷をモニタリングすることにより、大きな負荷がかからない部分においては、その瞬間に許容される最高の送り速度で加工できるようになります。これによりおよそ15%から20%のサイクルタイムの短縮が可能になります。
2.工具の衝突防止
工具の保護はACMの特徴的な技術の一つです。ACMが組み込まれた加工機ならば、刃物が素材に進入する際の送り速度を十分に落とすことができるため、工具が素材に衝突することがなくなります。加工速度を落とさなくても、進入時の送り速度を遅くできるのが特徴です。
3.ACMによる工具寿命の評価・管理
負荷監視・自動調整機能により、工具の寿命の兆候を検知することも可能になります。これにより工具の破損に至る前に再研磨に出すなど、予知保全が可能になります。
SIEMENSのみならず、日本国内で多く使用されているFANUCやMITSUBISHI製にも後付け可能です。
異なったCNC機が点在している工場でも本製品で統一可能です。
NC | 動作環境 | |
Siemens | ||
Sinumerik 840Dsl with PCU | SINAMICS S120 drive以上 PCU50.3以上 NCU 710.x以上 NCUソフトウェア version 2.7以上 HMIソフトウェア version 4.5以上 |
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Sinumerik 840Dsl with TCU | NCUソフトウェア version 2.7以上 SP1 HMIソフトウェア version 4.5以上 |
|
Sinumerik 828 | NCUソフトウェア version 4.95以上 | |
Sinumerik 808/810/802 | ||
Sinumerik 840Dpl PCU50 | Simodrive 611D以上 NCU572.x以上 NCUソフトウェアversion 06.05.11以上 HMIソフトウェアversion 06.05.15以上 |
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Sinumerik 840Dpl PCU20 | ||
Sinumerik ONE | ||
Fanuc ※ | ||
FANUC 0i - モデル A/B/C | 使われているFanucに下記の機能が必要 1.FOCUS 2 Library A02B-0207-K737 2.LANポート (A02B-0303-J381) |
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FANUC 15/150 -モデル B | ||
FANUC 15i/150i -モデル A/B | ||
FANUC 16/18/21/160/180/210 -モデル B/C | ||
FANUC 161/18i/21i/160i/180i/210i -モデル A/B |
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FANUC 30i/31i/32i - モデル A/B | ||
FANUC 300i/310i/320i - モデル A | ||
Heidenhain※ | ||
TNC 640/620/320 |
使われているHeidenhainに下記の機能が必要 |
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iTNC 530 dual processor | ||
iTNC 530 single processor | ||
Mitsubishi※ | ||
M70/M70V/M700/M700VS/M700VM |
ACMの情報をまとめたPDF資料をお送りいたします。
1972年に創業し、製造現場の課題解決に力を入れてきました。製造オペレーションに深い理解を持つため、お客様に最適な提案が可能です。IoT製品販売だけでなく、課題に合わせたアプリ開発を含め、最新テクノロジーを活用したソリューションを提供しています。弊社はSIEMENS社の正規代理店であり、同社製品を活用したソリューションをご提案させていただいています。