SIEMENSのみならず、日本国内で多く使用されているFANUCやMITSUBISHI製にも後付け可能です。
異なったCNC機が点在している工場でも本製品で統一可能
高負荷時は、送り速度を下げ、低負荷時は、送り速度を上げる事で、工具にかかる負荷を可能な限り一定にし、工具寿命の安定化・長寿命化を
実現できます。工具寿命が安定することで、工具1本あたりにおける生産個数のバラつきをなくすことが可能です。
切削加工において、ワーク表面の凹凸や硬度・寸法は必ずしも一定ではありません。変則的に変わる加工条件下で、過負荷がかかった場合は、
瞬時に機械を停止させます。また、切込み時の負荷を軽減することで、機械/工具の保護に貢献します。
切削負荷のモニタリングで諦めていたロスを削減
Adaptive control & monitoring
ACM
切削加工に時間がかかるという課題を解決するための、 SIEMENSが提供するソフトウェア
ACMとは Adaptive Control & Monitoring を意味し、切削中のスピンドルの負荷を常時モニタリングし、 それを送り速度の調整に活用するシステムです。
例えば、大きな負荷がかかりやすい、刃物が材料に進入する場面においては送り速度を低下させ、比較的負荷が下がる切削中には送り速度を上げるようなコントロールを行います。
ACMでは、 主軸負荷の他にも、 切削工具のデータやワークの材料特性などの情報を取得します。 それにより、 加工フェーズだけでなく、 各瞬間において許容される最高の送り速度での加工を可能にします。また主軸にかかる負荷の変動は仕上げ面に影響を与えますが、 ACMならば常に主軸負荷をモニタリングし、最適な送り量を算出することで、 仕上げ面の均一さにも貢献します。
ACMは、航空宇宙分野や自動車産業、金型業界など様々な業界で活用されています。
例えば航空宇宙分野で使用されるランディングギアの切削加工では、切削難易度の高い部分が存在しています。このような場面において、従来はオペレーターが手動で刃物の送り量を調整していました。しかし、特に多軸加工機においては、作業員の目視では加工部位の確認がしづらく、状況が正確に把握できないため慎重にならざるを得ず、許容される最高の送り速度での加工は不可能でした。
ACMならば切削状況を常にモニタリングしているため、刃物の食いつき時だけでなく、加工中であっても、その瞬間ごとの最高の送り速度で加工ができるようになり、およそ27%の加工時間短縮につながりました。
業界別の事例では、自動車産業では約8%、発電業界では約18%、金型業界においては約21%の加工時間短縮を実現しました。
工具の過負荷状態を検出し、機械を瞬時に停止
ACMが組み込まれた加工機であれば、切削時の速度を維持しつつ、刃物が素材に進入する際の送り速度を最適な速度まで落とせるため、工具の衝突リスクを低減できます。また、工具が異常な負荷状態にあると判断すると機械を停止させることができるため、機械/工具の損傷を最小限に抑えます。
ACMは非常に短いサンプリング時間(2ms)でスピンドル負荷を監視します。これにより、工具の異常な負荷状態を瞬時に検出します。この最適化された検出機能は、機械の損傷を抑え、生産プロセスの中断を最小限に抑えるのに役立ちます。
動作イメージ
チタン材などの難削材料、ダイス鋼などの高硬度材料を切削加工する際には、必然的に工具にかかる負荷は大きくなります。切削の設定が合っていない場合、工具の摩耗が進んでしまい、想定より工具の寿命が短く、工具の費用が増加してしまうことになりかねません。
工具寿命の可視化事例
インコネル718という、ニッケルを主体とし、炭素や鉄などを加えた合金でジェットエンジンの部品、原子力発電所の原子炉などに使われている、強度として非常に強い合金があります。ACMでインコネル718を切削した場合、どのような利点をもたらすかについてポーランド・ジェシュフの工科大学にて試験をしました。
事前準備
試験加工を開始する前に、ACMのラーニングモードを実行しました。工具を新品の状態から使用し、摩耗が進行するまで加工テストを繰り返しました。このラーニングモードにより、Load Curve(負荷曲線)が生成されました(Fig. 1の4)。このLoad Curveを基にして、下記の2つの方法を用いて工具を監視しました。
1 | Alarm Level (負荷の上限と下限 – 超えると機械を停止させる) |
2 | Warning Level |
3 | Maximum recorded load (ラーニングモードのときの最高負荷) |
4 | Load Curve(負荷曲線) |
試験結果
・約10回程度【Warning Level】という上限・下限を超える警告が発生
・その後2回【Alarm Level】という上限・下限を超え、ソフトウェアが機械を停止
・2回目の【Alarm Level】までの加工時間は42分
工具が摩耗していくと、新品の状態よりも負荷が増加する傾向があります。ACMソフトウェアの負荷監視・自動調整機能により、工具メーカーの推薦タイミング通りに工具寿命を達成しました。また、衝突防止機能も備わっているため、工具の過負荷による問題を未然に防ぐことができました。
ACMが改善できる点は、次の3点です。
1.サイクルタイムの短縮
リアルタイムに主軸の負荷をモニタリングすることにより、大きな負荷がかからない部分においては、その瞬間に許容される最高の送り速度で加工できるようになります。これによりおよそ15%から20%のサイクルタイムの短縮が可能になります。
2.機械/工具の保護
工具の保護はACMの特徴的な技術の一つです。ACMが組み込まれた加工機ならば、設定により刃物が素材に進入する際の送り速度を十分に落とすことができるため、オペレーターが常に機械を操作する必要がなくなります。また、万が一工具が衝突した場合、瞬時に機械を停止し、機械/工具の損傷を最小限に抑えます。
3.工具負荷の可視化
ACMでは加工時の負荷を常にモニタリングして最適な送り速度を選択できるため、工具への負担が少なくなります。それにより、工具の寿命が向上します。工具にかかる負担を可視化することによって、工具の交換時期や再研磨のタイミングなどを予測できるようになり、工具管理の最適化が可能になります。
SIEMENSのみならず、日本国内で多く使用されているFANUCやMITSUBISHI製にも後付け可能です。
異なるCNC機が点在している工場でも、本製品で統一可能です。
NC | 動作環境 | |
Siemens | ||
Sinumerik 840Dsl with PCU | SINAMICS S120 drive以上 PCU50.3以上 NCU 710.x以上 NCUソフトウェア version 2.7以上 HMIソフトウェア version 4.5以上 |
|
Sinumerik 840Dsl with TCU | NCUソフトウェア version 2.7以上 SP1 HMIソフトウェア version 4.5以上 |
|
Sinumerik 828 | NCUソフトウェア version 4.95以上 | |
Sinumerik 808/810/802 | ||
Sinumerik 840Dpl PCU50 | Simodrive 611D以上 NCU572.x以上 NCUソフトウェアversion 06.05.11以上 HMIソフトウェアversion 06.05.15以上 |
|
Sinumerik 840Dpl PCU20 | ||
Sinumerik ONE | ||
Fanuc ※ | ||
FANUC 0i - モデル A/B/C | 使われているFanucに下記の機能が必要 1.FOCUS 2 Library A02B-0207-K737 2.LANポート (A02B-0303-J381) |
|
FANUC 15/150 -モデル B | ||
FANUC 15i/150i -モデル A/B | ||
FANUC 16/18/21/160/180/210 -モデル B/C | ||
FANUC 161/18i/21i/160i/180i/210i -モデル A/B |
||
FANUC 30i/31i/32i - モデル A/B | ||
FANUC 300i/310i/320i - モデル A | ||
Heidenhain※ | ||
TNC 640/620/320 |
使われているHeidenhainに下記の機能が必要 |
|
iTNC 530 dual processor | ||
iTNC 530 single processor | ||
Mitsubishi※ | ||
M70/M70V/M700/M700VS/M700VM |
ACMの情報をまとめたPDF資料をお送りいたします。
導入実証実験(PoC)も承っております。
PoCとは、新しい技術やアイデア、手法、原理などを用いたサービスや製品の実現可能性や効果を検証する手法。
つまり、ACMの本導入前に、自社でどれだけ効果が出るのか検証したい場合にご利用いただけるサービスです。
STEP1:KPIの設定
ACMを導入して期待される目標値の設定をSIEMENS社が行います。
STEP2:ACMをインストール
お客様の対象機械にACMをインストールします。
STEP3:約1ヶ月間 ご使用いただき、効果検証を行います。
適宜MTGを実施し、事前に設定したKPIを達成できるか検証を進めます。
STEP4:本導入
※PoCをご利用いただける条件:
事前に設定したKPIを達成した場合、ACMをご購入いただけるお客様のみのサービスとなります。
※注意事項:
・PoC期間中は、ACMソフトウェアが無償で使用出来ます。
・ACM導入に伴う、ハードウェア費用/材料/作業費用は有償となります。
その他、SIEMENS ACMに関してご質問がありましたら、以下のフォームからお気軽にご連絡ください。
1972年に創業し、製造現場の課題解決に力を入れてきました。製造オペレーションに深い理解を持つため、お客様に最適な提案が可能です。IoT製品販売だけでなく、課題に合わせたアプリ開発を含め、最新テクノロジーを活用したソリューションを提供しています。弊社はSIEMENS社の正規代理店であり、同社製品を活用したソリューションをご提案させていただいています。